Shizue Shigi 「unformed」 CD  コンパイルby 角田俊也

「写真家の方の作品集ではあるがテクノのようなトラックとフィールドレコーディングが2枚組で収録されています。」

と、角田さんからお預かりした今年リリースの音源集です。

角田さんからお聞きした概要だけではその全体像がすぐには呑み込めず、笑、聴いてみました。

 

さすがの角田さんによるコンパイルです。disc1はテクノ、ミニマルエレクトロニカのような上質なエレクトロニックトラックが収録されていました。角田さんのCD解説によると、

「これらの音楽は、制作にあたって、ある種の為す術の無さを取り込んできたものだという。シンセサイザー音源や音楽ソフトを複雑に組み上げ、鍵盤を触る僅かな強弱などでランダムな変化が発生するシステムを作る。その中で自身の振れ幅が演奏の結果になる、というもののようだ。これは撮影に似ている。手触りを頼りに対象を惹きだす。限定の中での操作。椎木にとって風景ではなく、音という抽象的な素材に変わったものだ。」

 

音楽マニアでもなんでもない写真家の方が池田亮司やMEGOのようなサウンドにたどり着いているのが非常に興味深く、また音の太さもあり、繊細だけどダイナミックな不思議な気持ちになるエレクトロニックミュージックです。

一方、DISC2は福島の事故の5ヶ月後、立ち入り禁止区域ぎりぎりで録音されたもの。ひたすらに虫の声と地鳴りのような低音。解説なしで分かるものではないですが、概要を理解したところから始まるコンセプチュアルへの旅がここにありました。通常であればこのような音楽とフィールドレコーディングの組み合わせでのコンパイルはなかなか出来ないことのように感じますが、そこは角田さん。椎木さんの作家としての振り幅をさらりと提示、浮き彫りにして、かつ角田俊也プロデュースであることをここまで明確にする手腕には脱帽いたします。

 

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